故人がなくなった場合、医療費や葬儀代の支払いなどの理由から、亡くなった人の銀行口座からお金を引き出したいこともあるでしょう。
また、遺産分割をするために、残高を確認したり取引履歴を開示したりする必要もあるでしょう。
そこで問題になるのが、
- 亡くなった方名義の預金の残高証明や取引履歴の開示は、誰でもできるのか?
- 相続人全員の同意がなくても単独でできるのか?
亡くなった方の口座からの引き出しや取引履歴の開示について、誰がどのようにできるのかを説明します。
1. 亡くなった方の口座の残高・取引履歴の調査!相続人なら単独でもできるのか
相続をするために、故人が銀行や郵便局など、金融機関に口座がある場合、いくら残っているのかなど、詳しく知っておかなければなりません。
また、亡くなるまでの医療費支払いや、葬儀費用を支払うために、故人の預金から出金したい場合もあるでしょう。

1-1 故人の預貯金を知る方法~残高調査は単独の相続人でもできる
正確な金額を知るためには、通帳に載っている支店へ、残高証明書の請求をします。
通常、個人情報を勝手に見る事はできません。
しかし、故人と相続人双方の戸籍謄本などで関係を証明し、印鑑証明など必要なものがそろえば、相続人が単独でも残高を知ることが出来ます。
また、口座に残っている金額が明らかに少ないなど、故人の口座から勝手に誰かがお金を引き出しているかもしれない場合、過去の入出金の記録を見る事も出来ます。

取引履歴の開示も、亡くなる前に解約したものでなければ、口座のある銀行などに相続人が単独で請求できます。
しかし、平成21年より以前は、相続人全員の同意がないと履歴の照会は出来なかったので、請求先によっては、誤った認識から断られる場合もあります。
その時は、支店ではなく本店へ連絡してもらう方が、照会に応じてもらえるようです。
しかし、凍結後の口座から出金するには相続人全員の同意が必要です。
・どの金融機関に口座をもっていたのか詳しく知らない場合
遺品の整理をして、通帳またはキャッシュカードを探します。
通帳かキャッシュカードがみつかれば、どこにお金を預けているのか等、預金の詳しい情報がわかります。
預金先に電話などであらかじめ何がいるか確認し、必要な証明書類がそろっていれば、取引状況を教えてもらえます。
残存照会といって、口座をもっているかどうかを調べる事から始めます。
その際、登録時に書かれた住所と名前が正確でないと調べられません。
住所の変更がないかなど注意して行いましょう。
口座があるとわかれば、改めて残高照会や取引履歴照会を請求します。
故人に送られた金融機関からのお知らせなどを探してみましょう。
故人の行動範囲を想像して、その範囲にある金融機関に戸籍謄本を持って聞いてまわれば、口座の有無を教えてもらえます。
2. 亡くなった方の口座からの引き出しはできるのか~引き出せるタイミングと条件
亡くなったことを金融機関が知った時点で、その口座の入出金など全ての取引が出来なくなります。
それは、亡くなった方の権利を守るためと、無用な相続トラブルを避けるためです。
葬儀や医療費などの支払いは、相続人の個人的な利益を目的とする行為ではないですが、凍結されると自由に出金することはできません。
金融機関は、故人の家族から知らせてもらうか、訃報のお知らせに名前をみつけて初めて、亡くなった事を知ります。
口座をもっていることを故人の家族が知らない場合、凍結されずにそのまま残っていることもあるのです。
つまり、凍結されていない場合と凍結されている場合で引き出せるかどうかが異なってきます。
2-1 凍結前の引き出し~トラブルにならないようにリストを作成
凍結前であれば、誰でも引き出しは可能です。
【例】 病院への支払いに、葬儀の費用、また、遠方に親族がいる場合
足代を渡すこともありますよね。
リストに支払う項目をあげ、どれくらいの金額が必要であるか事前に計算して、必要な分だけ引き出すようにしましょう。
故人の口座から出金するのですから、後々勝手に引き出したなどと疑われたり、トラブルになることを避けるために、リストは残して、領収書なども取っておくべきです。
故人のために必要となる費用については、金融機関へ死亡が伝わる前に、出金しておくといいでしょう。
2-2 凍結している口座から引き出すことはできるの?取引再開の条件
相続人同士で相続についての協議が終わったり、相続人全員の合意があれば口座取引を再開することができます。
つまり、全ての相続人が凍結の解除を望んでいる事を金融機関に示すことで出金が可能となります。
金融機関には、相続人全員分の印鑑証明書の添付、実印の押印をして、全員が同意していることを証明します。
金融機関ごとに、独自の書式があり、添付するものが増える場合もあるので確認しましょう。



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