特別送達という郵便物をご存知ですか?
受け取ったことがない人は知らないかもしれません。
通常、郵便物は普通郵便や書留で送られてきますが、この郵送方法では相手が受け取ったかどうかを把握、証明することはできません。
一方、特別送達は、受け取ったことを証明できる郵送方法です。
裁判所(公的機関)から訴状や競売決定など、確実に届ける必要、受け取ってもらう必要があるような書類を送る場合に使われます。
例えば、住宅ローンを滞納したことで、債権者が競売手続きを申立てした場合なら。
裁判所は、競売手続き開始決定の通知を特別送達でおこないます。
特別送達で送られてくる書類は重要な内容ですので、無視をすると面倒なことになります。
中には、面倒な書類なんて受け取りたくない!と、受け取りを拒否や不在にしてどうにか受け取らない方法を考えている方もいるかもしれません。
受け取りを拒否することは可能なのか?
また、受け取りはしたものの、記載されていることを無視したらどうなるのか?
ここでは、裁判所から送られてくる特別送達について紹介します。
なお、特別送達を受け取って、支払督促や訴状、競売開始決定などの対処で困っている方。
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自分で対処することができないならすぐに弁護士に相談したほうが不安や悩みは解消できます。
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1. 特別送達とは?裁判所などの公的機関からの重要通知
公的機関(裁判・公正取引委員会・特許審判など)が確実に文書を送達するため、送った相手に届いたことを証明するために使われる郵便物です。
特別送達は、民事訴訟法第103条から第106条、そして第109条で規定されています。
- 裁判所は、封筒の表の面に「特別送達」と記載
- 裏面には所定の郵便送達報告書用紙を貼り付けて出す
上記が決まりとなっています。
「支払督促」
「訴えが提起された場合の訴状送付」

また、特別送達は、配達員が郵便物を直接渡す方法で配達されます。

なお、受取人本人に渡さなくても、郵便物の受領について関係する人に渡すことでも送達は完了したことになります。
配達が完了すると、郵便送達報告書を作成して差出人である裁判所に提出することになります。
これを受けて裁判所は「通知完了」として手続きを進めます。
一般書留と似たような方法ですが、他にも異なる点があるので紹介します。
2. 受け取り拒否や不在にした場合にはどうなるの?記載されていることを無視したらどうなる!?
特別送達が来たら、内容を確認して対処しなくてはいけません。
無視したり放っておくと大問題となります。
そもそも、拒否や不在ということが通用しません。
配達員は、受け取りたくないと言われても、ポストに入れるなりして、配達したことにします。
不在にした場合ですが、就業先に対して特別送達することもできます。
会社の誰かが受け取ってしまえば、送達されたことになります。
さらに、どうしても送達ができない場合には、公示送達(こうじそうたつ)という方法を使えます。
これは、相手方の住所が不明、相手が拒否し続けて送付できない場合に使われ、公示をして、法的に送達したものとすることができるのです。
どんなに受け取りなくないと思っても、最終的には送達したものとされてしまいます。
多少時間を引きのばすことはできます。
自宅の競売についての通知であれば、できるだけ引きのばすことによって、新たに発生する費用を引き伸ばせます。
でも、それもちょっとした差でしかありませんので、受け取って内容を確認した方が良いでしょう。
また、記載されていることを無視することもやめておきましょう。
無視してしまうとどうなるのか?それぞれのケースで紹介していきます。
3.特別送達を無視したらどうなる?支払督促(少額訴訟)のケース
少額訴訟とは、60万円以下の支払いを求める場合に限ってできる手続となります。
「小さな争いをお金と時間をかけずに解決する」ということが目的でつくられた手続きです。
原則として1回しか審理が行われず、この1回で争いを解決する、という特殊な手続きです。
少額訴訟の場合、特別送達ではどんな内容の通知が届くのか?
裁判所は、双方を呼び出して言い分を聞くための日(これを口頭弁論期日と言います)を決め、期日が書かれた書面(呼び出し状)を特別送達で送ります。
●月●日●時に
△△裁判所に来てください
他にも、訴状や証拠書類など、手続きの内容について関連する書面が呼び出し状と一緒に送られてきます。
先ほども説明したとおり、少額訴訟は1回限りです。
裁判所はこの日に原告と被告の両方の言い分を聞き、証拠を調べたうえで、判決を下します。
もし通知を無視して期日に出向かなければ、原告の方の言い分のみを聞いて判決は出されてしまうのです。
このように、裁判所から特別送達で送られてくる郵便物は、とても大事な内容が書かれた書面が含まれています。
拒否することなく必ず受け取って、内容をよく確認して何らかの措置をとりましょう。
身に覚えのない支払いだろうと支払いの義務が発生してしまいます。
特別送達が届いたら、必ず確認をしましょう。
3-1 やむを得ない事情などで指定された期日に裁判所に行くことができない場合
呼出状に記載されている連絡先に電話してください。
担当の書記官に事情を伝え、相談してみましょう。
場合によっては、期日の変更や代わりとなる措置をとってくれるかもしれません。
また、少額訴訟手続ではなく、通常の手続きで言い分を主張したい!ということもできます。
その場合には、呼び出し状に記載されている期日までに、通常の手続を求める申し出をおこなってください。
4.特別送達を無視したらどうなる?訴状のケース
訴状といっても、貸金返還請求や不当利得返還請求など、その内容は様々です。
まずは内容を確認して、相手が何を主張しているのか知る必要があります。
もしも、それをせずに無視した場合ですが、知らない間に敗訴判決を受けてしまいます。
裁判所に連絡すること、答弁書を提出すること、裁判に出廷すること、これらを何もせずにいると、相手が訴状で主張したことを認めた、ということになってしまうのです。
結果、あなたが知らないところで勝手に裁判は終わり、あなたは敗訴します。
仮に、全く身に覚えもないような場合や、相手の言いがかりで理不尽のような内容の場合でも同様です。
訴えを提起されて裁判になった以上、きちんと反論しないといけません。
また、お金を支払うような判決が出た場合には、相手は強制執行の申立てが可能です。
申立て後、裁判所によって執行許可決定が出れば、給料や預貯金、不動産などを差し押さえられてしまいます。
面倒だから、全く関係のない内容だからと無視することは得策ではありません。
内容を確認して対処するべきです。
5.特別送達を無視したらどうなる?競売開始決定通知のケース
- ローンの返済に遅れ
- 銀行からの通知も無視
- 何ヶ月分もの返済ができない
この状況を放置すると債権者は競売に向けて手続きを進めます。
競売の開始が決定した場合、裁判所はその通知を「特別送達」という形で郵送してきます。
滞納している状況で地方裁判所からの特別送達が届いた場合、競売手続きが開始したことになります。
具体的には、「担保不動産競売開始決定」と書かれた書面が届きます。
届いたら必ず内容を確認して下さい。
そして、状況に応じて、対処する必要があります。
- 裁判所から強制的に取り上げられる競売を選ぶか?
- 自分で買い手を探す任意売却にするのか?
5-1 任意売却にしたいなら!特別送達が届いたらすぐに行動する

特別送達で開始決定通知が送られてきたからと言って、全てを諦めてはいけません。
競売手続きが開始しても、任意売却に変更することが可能です。
競売開始決定が届いた時点で、すぐに対応しましょう。
任意売却にすれば、手元にある程度のお金を残すことも可能です。
その家に住み続けられる可能性さえ残されています。
しかし、特別送達が届いたということは、「競売手続きが進められていく」ということです。
任意売却するには、時間的にもギリギリです。
まずは任意売却が可能なのかどうかを弁護士に判断してもらいましょう。




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